助動詞は、法制(モダリティ)を表わす語幹、法(ムード)・時制(テンス)・態(ヴォイス)・相(アスペクト)を表わす語尾から成り立つ。語尾の組み合わせは有限であるが、語幹は幹詞でさえあれば何でも入りうる為に数の特定は出来ない。
法制・法・時制・態・相の全てを明示する必要は無く、示したい物だけを示せばよい。法制のみを示す場合、語幹に意味の無い形式語尾を付加する。語幹の形によっては形式語尾が必要無い場合もある。法制を示さない場合、語尾のみを助動詞とすればよい。
助動詞の語幹についての解説は後日とし、以下では語尾に絞って解説する。
助動詞の語尾の基本形は『CVVC』であり、それぞれが順に法・時制・態・相を表わす。語尾が取りうる形としては『(C)V(C)』または『(C)VV(C)』がある。
『(C)V(C)』の場合、語尾を単独で助動詞とする場合は最後のCは省略出来ず『(C)VC』となる。
『(C)VV(C)』の場合、VVが同音の場合は最後のCは省略出来ず『(C)VVC』となる。
◆法(ムード)……左のC
ここで表わされる法は、既出の直説法・命令法を除く2種類、つまり接続法・条件法である。助動詞によって接続法・条件法を表わす場合は直説法用の述詞と共に使われ、命令法用の述詞と共に使われるのは特殊な用法の場合に限られる。また、『左のC』は法を表わすと同時に時制を強調する働きを同時に受け持つ。
l・m・n ……接続法・条件法・その他 (同時に時制を強調する)
q・r・w ……接続法・条件法・その他 (時制は強調しない)
y ……特殊子音 (特殊な用法である。詳細は後述)
主な用法としては、接続法は事実に反した仮定に用いられ、条件法はその仮定から導かれる本来はありえなかった帰結に用いられる。
なお、法を明示しない語尾を語幹に付加する場合、語幹と語尾の間にアポストロフィ(apos/ア
ポシ)を挟む必要がある。
◆時制(テンス)……左のV
a・e・i・o・u ……過去時制・半過去時制・現在時制・半未来時制・未来時制
線的な相であれば、半過去時制は「過去から現在にかけて」、半未来時制は「現在から未来にかけて」を表わす。点的な相であれば、半過去時制は「現在の直前」、半未来時制は「現在の直後」を表わす。
『左のC』によって強調されていない場合、例えば過去時制といえども単に「過去にそうであった」という事を表わすだけであって、「だが今はそうではない」という事を暗示するわけではない。強調されている場合は逆に、そういった含みを持つ表現となる。
◆態(ヴォイス)……右のV
ä・ë・ï・ö・ü/a・e・i・o・u ……使役受動態・受動態・交互態・能動態・使役能動態
時制を同時に示さない場合、態は鼻母音で表わされる。時制と態を同時に示す場合、態は口母音で表わされる。
詳細は格助詞の項で解説するが、例えば受動態の動作主格を示す格助詞があればその動詞が受動態である事は明らかとなるので、あえて助動詞によって態を示す必要が無い場合は少なくない。
◆相(アスペクト)……右のC
c・k・p・t・z ……準備相・開始相・終止相・完了相・影響相
f・h・s・ß ……進行相・状態相・継続相・習慣相
v ……形式子音(相を明示しないが『右のC』が必要とされる場合に使う)
準備相……〜しようとする
開始相……〜し始める
終止相……〜する
完了相……〜し終わる
影響相……〜した影響が続いている
進行相……(まさに)〜しつつある(最中である)
状態相……(まさに)〜している(最中である)
継続相……(中断をはさみつつ)〜しつつある
習慣相……(中断をはさみつつ)〜している
◆特殊な語尾/法(ムード)のみを示す場合
l・m・n・q・r・w+ii (または述詞にあわせてaa・ee・oo・uu)
◆特殊な語尾/相(アスペクト)のみを示す場合
yi (または述詞にあわせてya・ye・yo・yu)+c・k・p・t・z・f・h・s・ß
◆特殊な語尾/法制(モダリティ)のみを示す場合の形式語尾
yi (または述詞にあわせてya・ye・yo・yu)
この語尾は幹詞に付加される場合にのみ用いられ、単独で助動詞となる事は無い。なお、語幹が「単独の語尾」でも「語尾付きの幹詞」でもありえない形の場合は形式語尾を省略してもよい。具体的には「破裂音・破擦音で始まるCVC・CVV(C)単語」などの場合である。
こぼれ話) アスペクトに関しては元来「〜する」相、「〜しつつある」相、「〜している」相の3種類があれば充分だと思っていたのですが、他の人工言語を見ると準備相(または将前相)・開始相・経過相・完了相・影響相があって、それなりに美しいし便利そうな体系に感じたので「まぁ子音字も余ってる事だし、少なくとも邪魔にはならないか」程度の気持ちで「c・k・p・t・z」を加えておきました。もっとも、私が「する・しつつある・している」の対立を重視している事には今でも変わり無いので、多分これから私が書く例文には「f・h・v」以外はあまり出てこないと思います。特に影響相と状態相などは、どう使い分けたら良いのか私にはよく判りません…… ちなみに「p」ではなく「v」なのは、元々無相と終止相は兼用で良かろうという構想だったからです。というか、今でも別に兼用で差し支え無いと考えているのですが、そうすると子音字が1つだけ余るので終止相も入れておきました。これから私のアスガル語力が成熟していくに従って、他の相を使う事も増えていくのか、それとも実質的に古語化して廃れていくのか。どっちに転ぶかは自分でも予想がつきませんが、自身がどちらに変化していくかはある意味楽しみでもあります。
文法/動詞系統